こんにちは。ゴンテです。平成30年司法試験の出題趣旨を追記して、民事訴訟法(設問3)の補助参加についてまとめます。
【設問3の問い】問題文→http://www.moj.go.jp/content/001258875.pdf
①第一審で補助参加していなかった運転手Bが乗客Aのために控訴することができるのか?
➁運転手Bがこの訴訟への補助参加することができるのか?
【設問3の事例整理】
原告の乗客Aは、運転手Bと交通事故の相手方Cを共同被告とし、共同不法行為を主張して、不法行為に基づく損害賠償請求権に基づき400万円の支払請求をした。審理の結果、本件事故についてBの過失は認められるが、Cの過失を認めることができないとして、「Bは、Aに対し、250万円支払え。」などとする主文の判決が下った。AのCに対する請求は棄却。
【出題趣旨】
出題趣旨より引用“主張(ア)との関係で,第一審で補助参加をしていなかったBがAのために控訴をすることの可否について…は,第一審で補助参加していなかった者も,補助参加の申出とともに被参加人のために控訴ができるとするのが同法第43条第2項及び第45条第1項から導かれる適切な解釈である。”“主張(イ)との関係で,補助参加の利益(同法第42条参照)について…は,考え方が分かれ得るところであり,最高裁判所昭和51年3月30日第三小法廷判決・裁判集民事117号323頁の趣旨等をも意識しつつ,自らの考え方を述べることが求められる。”引用以上
最判昭51.3.30→ http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/064/064064_hanrei.pdf
この出題趣旨には、「MUST系」で書かれているところがないので、比較的緩やかな基準で点が入ると予想されます。上記のとおりに論述されていればよいと考えます。次に、問いを検討してみます。↓
【問い前段の検討】
45条1項「補助参加人は、訴訟について、攻撃又は防御の方法の提出、異議の申立て、上訴の提起、再審の訴えの提起その他一切の訴訟行為をすることができる。ただし、補助参加の時における訴訟の程度に従いすることができないものは、この限りでない。」
43条2項「補助参加の申出は、補助参加人としてすることができる訴訟行為とともにすることができる。」
とそれぞれ規定されているところから、素直に条文を読むならば、第一審への参加が要件とされておらず、控訴から参加することが可能であると思います。補助参加人の利益の保護を図る一方で、45条1項但書で一定の留保がなされることでバランスを取っています。
【問い後段の検討】←全国模試を受けていた人は有利でした。ズバリ的中でしたね。
44条1項「当事者が補助参加について異議を述べたときは、裁判所は、補助参加の許否について、決定で、裁判をする。この場合においては、補助参加人は、参加の理由を疎明しなければならない。」
42条「訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる。」
補助参加の利益が認められるかが、問われています。特に、「訴訟の結果」と「利害関係」が何を指すのかを示すことが必須だと思われます。「訴訟の結果」は、判決主文だけでなく、判決理由中の判断をも含むと解釈するのが通説かと思います。「利害関係」は、法律上の利益・法律上の地位に影響を与えるでなければならないと解釈されています。つまり、何となくムシャクシャして感情的な利益を損なうといった事実上の利益は含みません。では、本問について、考えてみます。
第一審では、B→A:250万円支払義務あり、C→A:支払義務なし、となりました。このままでは、運転手Bが1人で250万円を乗客Aに支払わねばなりません。Bとしては、Cにも過失があると争う姿勢を見せています。控訴審で、BだけでなくCにも過失があると認められれば、BCは連帯して250万円ないしそれ以上の金額をAに支払うこととなり、BC間では過失割合に応じて求償関係になります。Bにしてみれば、賠償すべき金額のうちの負担が減る可能性があるということを意味します。このような事実から、補助参加の利益が認められると考えられます。このような結論は、上記最高裁判決とも整合的であります。
以上です。他の記事もご覧ください。ゴンテ