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平成30年司法試験-短答式試験刑法の分析と解説-第11問~第20問編

 
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法務省HPに掲載されている試験問題と正答をもとに、各選択肢ごとの簡単な解説を加えてゆきます。他の司法試験記事等もご覧ください。

【第11問】正答4

1.(×)(最決昭58.9.13)→責任能力の有無の判断は、法律判断であって専ら裁判所に委ねられるべき問題である旨の判示をしています。(最判平20.4.25)→専門家たる精神医学者の意見は、原則として、十分尊重して認定すべきである旨の判示をしています。

2.(×)(刑法39条2項)「心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。」←いわゆる必要的減軽です。

3.(×)(大判昭6.12.3)→心神喪失とは、精神の障害により事物の理非善悪を弁識する能力又はその弁識に従って行動する能力のない状態をいう。心神耗弱とは、精神の障害がまだこのような能力を欠如する程度には達していないが、その能力が著しく減退した状態をいう。

4.(○)上記判例から、精神の障害がなければならないことが分かる。

5.(×)(刑法41条)「十四歳に満たない者の行為は、罰しない。」→14歳になっていれば、処罰される可能性がある。

【第12問】正答5 詐欺罪の構成要件に当てはめるだけの問題です。

(刑法246条1項)「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」

(構成要件)①欺罔行為の存在、➁相手方が錯誤に陥ったこと、③錯誤に基づく処分行為、④利益が移転したこと、⑤それぞれに因果関係があること。

5.(×)偽造書類で登記官を欺いて登記移転を完了させたとしても、当該土地の処分がないので、当該土地の詐欺罪が成立しない。

【第13問】正答3-4

共犯の成立には、正犯の構成要件該当および違法性を具備することを要するとする見解に立つと、

1.(×)犯人蔵匿の被教唆者が犯人の親族である場合にも、犯人蔵匿罪の構成要件には該当する。もっとも、親族相盗例を違法性阻却事由とするのか責任阻却事由と考えるのかによって、教唆犯が成立するか否かが分かれるので、「教唆犯は成立し得ない」という問題文が不適切につき(×)となる。

2.(×)刑事未成年者の行為でも構成要件に該当し、違法性も具備しうるが、一律に責任が阻却される。上記見解によれば、教唆者には、教唆犯が成立しうる。

3.(○)住居侵入の被教唆者が家主の承諾を得て平穏に家屋に立ち入った場合には、住居侵入罪の構成要件に該当しないので、同罪の教唆犯は成立しない。

4.(○)私文書偽造の被教唆者が行使の目的を有せずに私文書を偽造した場合には、私文書偽造罪の構成要件に該当しないので、同罪の教唆犯は成立しない。

5.(×)偽証の被教唆者が証人として宣誓した上、虚偽の陳述をしたことで、構成要件に該当し、違法性も具備しうる。教唆者には、偽証罪の教唆犯が成立しうる。

【第14問】正答4

1.(×)(刑法98条)「前条に規定する者…が拘禁場…を損壊し…逃走したときは、三月以上五年以下の懲役に処する。」。(同102条)「この章の未遂は、罰する。」。(最判昭54.12.25)→未決の者が逃走の目的をもって拘禁場内の換気孔周辺のモルタル部分を損壊したときは、脱出可能な穴を開けることができなかった場合でも、加重逃走罪の実行の着手があったといえる旨の判示をしています。

2.(×)(福高判昭29.1.12)→未決の者が施設外に逃走したが、看守者がただちに発見して追跡し、600m離れた家屋で発見された事案で、いまだ看守者の実力的支配を完全に脱出したとはいえないとして、逃走未遂罪が成立するとしています。そうすると、問題文のように、護送車から逃走して刑務官の追跡を完全に振り切って民家に隠れ、しばらくしてから刑務官に発見されたような場合には、逃走既遂罪が成立すると思われます。

3.(×)(大判大2.5.22)からしても、看守者が被告人を逃走させるために、解錠して逃走を容易にさせて逃走させた場合は、看守者逃走援助罪が成立すると思われます。

4.(○)加重逃走罪における暴行は、逃走の目的のもとその手段としての暴行であることを要するので、単なる反抗心から刑務官に暴行を加えたに過ぎない場合には、公務執行妨害罪となると思われます。

5.(×)被拘禁者奪取罪が成立するには、客体が拘禁された者であることを要する。

【第15問】正答2 身分犯の共犯について規定する刑法65条の学説問題です。
【第16問】正答2-1-1-2-2 放火の罪に関する条文知識問題です。別途記事を書いてまとめるつもりです。
【第17問】正答5

刑事未成年を利用した犯罪において、主犯格の者が間接正犯となるのか、共同正犯になるのかの分岐点の知識を問う問題です。

基本的に、利用者が被利用者を支配しているか、被利用者の意思がどの程度犯行に表れているか、を検討します。問題文の事例では、被利用者が自己の判断によって被害者を閉じ込めるなどしていますので、意思の抑圧がないとみてよいと考え、間接正犯が否定されます。教唆犯は、責任が阻却される刑事未成年を利用した場合でも成立しえますが、事例では、具体的な犯行について共謀が存在していますし、強取した現金のほとんどを主犯格の者が費消していますので正犯意思も認められますから、共謀共同正犯が成立することになります。

【第18問】正答1

1.(○)「虚偽の風説を流布し」とは、虚偽の事項を内容とする風説を伝播させることをいうので、特定少数者を通じて伝播させる場合も含まれます。

2.(×)「…又はその他の方法により…」(刑法234条の2第1項)と規定されています。

3.(×)威力業務妨害罪における威力とは、客観的に一般人の意思を制圧するに足りる有形無形の勢力をいいます(最判昭28.1.30等)。机の引き出しに猫の死骸を入れておき、被害者にそれを発見させて畏怖させたケースでも威力業務妨害罪が肯定されています(最決平4.11.27)。

4.(×)信用毀損罪(刑法233条)は、非親告罪です。名誉毀損罪(刑法230条1項)は、親告罪(刑法232条1項)です。

5.(×)(最判昭53.6.29)公務執行妨害罪における「職務」は、広く公務員が取り扱う各種各様の事務すべてが含まれると判示しています。強制力を行使するか否かにかかわらず公務が保護の対象になっています。

【第19問】正答2

普通車のトランクに押し込んで監禁したケースにおける監禁行為と被害者の死亡の因果関係を肯定しやすい選択肢を選ぶ問題です。

1(×)普通車を片側三車線の左端に設けられた路上駐車帯に駐車していた場合には、そこに駐車することは当然想定される事ですので、後続車による追突事故によって、当該因果関係を薄める事情になります。

2.(○)トランクに閉じ込める際に、トランクカバーで被害者に重度の傷害を負わせ、追突事故時には既に瀕死状態になっていたという場合には、危険の現実化があったと評価できますので、当該因果関係を肯定する方向になります。

3.(×)通行人の通報で被害者が救急搬送され、重大な医療ミスで死亡に至ったというなら、死亡の原因が競合するので、当該因果関係を薄める事情になります。

4.(×)普通車のトランクに被害者が監禁されているのを後続車の運転手が知っているのに、なお殺意をもって追突事故を生じさせた場合、故意行為が介在しますので、当該因果関係を否定する事情になります。

5.(×)被害者をトランクに監禁中に、上空からヘリコプターが墜落して被害者が死亡した場合、介在事情の異常性が大きいので、当該因果関係を否定する方向にはたらきます。

【第20問】正答1-1-2-2-2

ア.(○)(最決平21.3.26)に照らすと、買主に無断でその土地に抵当権を設定し、抵当権設定登記を完了した行為は、横領罪(刑法252条1項)が成立する。横領罪においても親族相盗例の条文が準用されている(同255条244条)。

イ.(○)(最大判平15.4.23)→委託を受けて他人の不動産を占有する者が、無断で抵当権を設定しその登記を領した後であっても、さらにその不動産を売却しその登記を了した行為には、横領罪が成立すると判示している。この判例は、いわゆる横領後の横領を認めたものと理解されている。

ウ.(×)(最決平24.10.15)→土地の買い手が見つからない状況下で、土地を時価相当額で買い取ってもらったとしても、その代金の利益が賄賂罪の客体になる旨の判示をしています。

エ.(×)(刑法197条1項)「公務員が、その職務に関し、賄賂…の要求…をしたときには、五年以下の懲役に処する。」

オ.(×)(最判昭31.6.26)に照らすと、第1買主への登記が未了であると知りながら、第2買主が所有権移転登記を得た場合であっても、ただちに横領罪の共犯となるものではない旨の判示をしています。

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