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平成30年司法試験-論文式試験民事系第1問(民法)の分析と解説-設問3編

 
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今年の各設問の配点割合は、40:35:25です。5枚で書く場合は、2枚:1.8枚:1.2枚の配分になります。

【設問3の事実の整理】

Cには、子F・G・Hがおり、Hについては廃除の審判が確定していました。被相続人Cの積極財産は定期預金債権2000万円で、消極財産は借入金債務300万円です。Cの自筆証書遺言を検認したところ、「➁Fには1200万円の定期預金を相続させる。③Gには600万円の定期預金を相続させる。④Hには廃除の意思を変えるつもりはないが200万円の定期預金のみ与える。」と記されていた。FがCの借入金300万円の弁済期に全額返済したということを前提として、FはGにいくら支払請求できますか??という問題です。

【設問3で用いる法律知識の整理】

1.(最大決平28.12.19)→定期預金債権は、遺産分割の対象となると判示しています。←つまり、相続分に応じて当然分割されないということ。

2.(最判平3.4.19)→特定の遺産を特定の相続人に相続させる旨の遺言は、特段の事情のない限り、遺産分割方法の指定と解釈すべきと判示しています。

3.(大決昭5.12.4)→借入金債務は、原則として、相続人が分割承継すると判示しています。(最判平21.3.24)→相続債務の分割承継の割合は、指定相続分の割合に応じると判示しています。

4.被廃除者であっても、被相続人から遺贈を受けて、相続財産を承継することができます。一方、欠格者は、遺贈を受けることができません。

【設問3の検討】

被相続人Cが貸主Bに対して負っていた借入金債務300万円を相続人Fが全額弁済したため、相続人Fとしては、相続人Gに民法703条の不当利得返還請求として求償したいと考えています。なお、Hは廃除されているので、相続債務も承継されません。つきましては、相続債務の承継の割合が問題となります。遺言者Cが遺した本件遺言を見てみますと、「➁遠方に住みながらいつも気にかけてくれたFには、Gよりも多く、1200万円の定期預金を相続させる。」と記載されています。この文言を合理的意思解釈すると、相続割合の指定の意思が含まれていると考えるのが自然であると思います。←F 1200:G 600の割合。そうすると、借入金債務は、F2:G1の割合で相続されるということになりますので、Fが200万円:Gが100万円で承継されていることを意味します。

【設問3の結論】

Fは、Gに対し、不当利得返還請求として、100万円の支払請求をすることができる。

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