司法試験とボートレースと旅行のちゃんぽんページ

最高裁判所大法廷決定平成30年10月17日【O裁判官懲戒事件】

2018/11/20
 
この記事を書いている人 - WRITER -

こんにちは。ゴンテです。この記事では、O裁判官(実名は容易にネット検索可)に対する懲戒申立て事件について、事案の概要と決定要旨をまとめます。→最大決平30.10.17

【事案の概要】

(1) O裁判官は、平成26年4月23日頃から平成28年3月までに、「俺が再任されたことを,内閣の人が,習字で書いてくれたよ。これを励みにして,これからも,エロエロツイートとか頑張るね。自分の裸写真とか,白ブリーフ一丁写真とかも,どんどんアップしますね。」などとツイートし、平成28年6月21日に口頭による厳重注意を受ける。(2) 平成29年12月13日頃には、「首を絞められて苦しむ女性の姿に性的興奮を覚える性癖を持った男」「そんな男に,無惨にも殺されてしまった17歳の女性」とツイートし、平成30年3月15日に書面による厳重注意を受ける。(3) 平成30年5月17日頃には、「公園に放置されていた犬を保護し育てていたら,3か月くらい経って,もとの飼い主が名乗り出てきて,「返して下さい」え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?3か月も放置しておきながら・・裁判の結果は・・」とツイートした。

【参照条文】

(日本国憲法78条)「裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。」

(裁判所法49条)「裁判官は、職務上の義務に違反し、若しくは職務を怠り、又は品位を辱める行状があつたときは、別に法律で定めるところにより裁判によつて懲戒される。」

(裁判官分限法2条)「裁判官の懲戒は、戒告又は一万円以下の過料とする。」

(裁判官分限法4条)「分限事件は、高等裁判所においては、五人の裁判官の合議体で、最高裁判所においては、大法廷で、これを取り扱う。」

【決定要旨】

「裁判の公正,中立は,裁判ないしは裁判所に対する国民の信頼の基礎を成すものであり,裁判官は,公正,中立な審判者として裁判を遂行するに際してはもとより,職務を離れた私人としての私生活においても,その職責と相いれないような行為をしてはならず,また,裁判所や裁判官に対する国民の信頼を傷つけることのないように,慎重に行動すべき義務を負っている…。裁判所法49条…にいう「品位を辱める行状」とは,職務上の行為であると,純然たる私的行為であるとを問わず,およそ裁判官に対する国民の信頼を損ね,又は裁判の公正を疑わせるような言動をいう…。…被申立人は,本件アカウントにおける自己の投稿が裁判官によるものであることが不特定多数の者に知られている状況の下で,…本件ツイートを行ったもので…上記飼い主が訴訟を提起するに至った事情を含む上記訴訟の事実関係や上記飼い主側の事情について言及するところはなく,…被申立人がどのように検討したかに関しても何ら示されていない。…一般の閲覧者の普通の注意と閲覧の仕方とを基準とすれば,そのような訴訟を上記飼い主が提起すること自体が不当であると被申立人が考えていることを示すものと受け止めざるを得ない…。被申立人のこのような行為は,裁判官が,その職務を行うについて,表面的かつ一方的な情報や理解のみに基づき予断をもって判断をするのではないかという疑念を国民に与えるとともに,上記原告が訴訟を提起したことを揶揄するものともとれるその表現振りとあいまって,裁判を受ける権利を保障された私人である上記原告の訴訟提起行為を一方的に不当とする認識ないし評価を示すことで,当該原告の感情を傷つけるものであり,裁判官に対する国民の信頼を損ね,また裁判の公正を疑わせるものでもあるといわざるを得ない。…なお,憲法上の表現の自由の保障は裁判官にも及び,裁判官も一市民としてその自由を有することは当然であるが,被申立人の上記行為は,表現の自由として裁判官に許容される限度を逸脱したものといわざるを得ない…。…被申立人は,本件ツイートを行う以前に,…2度にわたる厳重注意を受けており,取り分け2度目の厳重注意は,…本件と類似する行為に対するものであった上,…僅か2か月前であったこと,当該厳重注意を受ける前の事情聴取の際,…訴訟の関係者を傷つけたことについて深く反省しているなどと述べていたことにも照らすと,…強く非難されるべきものというほかない。よって,裁判官分限法2条の規定により被申立人を戒告することとし,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

【事件のポイント】

O裁判官は、不適切なツイートに関して、複数回厳重注意を受けていること。事情聴取で、深く反省しているという弁を述べてから僅か2か月後に、同様の不適切なツイートが行われたこと。ツイートした事件の被告側に立った投稿は、国民の裁判官に対する公平性に疑念を生じさせる「品位を辱める行状」に当たる。裁判官にも表現の自由が及ぶこと。

以上です。他の記事もご覧ください。ゴンテ

この記事を書いている人 - WRITER -

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。

Copyright© ゴンテのぼーっと日記 , 2018 All Rights Reserved.