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平成30年司法試験-短答式憲法の分析と解説-第11問~第20問編

 
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法務省HP掲載されている試験問題と正答をもとに、各選択肢ごとの簡単な解説を加えてゆきます。他の司法試験記事等もご覧ください。

【第11問】正答1-2-2-1

ア.(○)「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、…現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」(憲法97条)。→憲法の最高法規性を実質的に根拠付けるものと見ることができます。

イ.(×)抵抗権は、実定法上の救済手段が尽きたときの最終手段の論理です。憲法で抵抗権が認められているとする見解との関係では、最高法規性を肯定することに繋がります。

ウ.(×)国家緊急権は、人権保障の一時停止等をその内容とするものであり、憲法の最高法規性と矛盾しないと考えることができます。

エ.(○)抽象的違憲審査制は、憲法裁判所を設置して違憲審査するスタイルです。付随的違憲審査制は、日本によっても採られているスタイルです。いずれの違憲審査制を採るかは、憲法の最高法規性から当然に導かれるものではありません。

【第12問】正答2-2-1-2

ア.(×)「天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。」(憲法4条2項)。「天皇は、精神若しくは身体の疾患又は事故があるときは、摂政を置くべき場合を除き、内閣の助言と承認により、国事に関する行為を皇室典範第17条の規定により摂政となる順位にあたる皇族に委任して臨時に代行させることができる。」(国事行為の臨時代行に関する法律2条1項)。

イ.(×)

ウ.(○)「皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。」(憲法5条)。

エ.(×)「すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。」(憲法88条)。→皇室に富と権力が集中するのを避ける趣旨です。皇室であっても私有財産はあります。さすがに、ハンカチ1枚も持てないわけではないですよね。

【第13問】2-1-2

ア.(×)(最大判平8.9.11)(最判平21.9.30)(最大判平24.10.17)が、参議院議員選挙について違憲状態と判断しています。

イ.(○)(最大判平11.11.10)

ウ.(×)(最大判昭30.3.30)←選挙期間中に限った文書頒布規制等は、憲法上許された必要かつ合理的な制限であると判示しています。

【第14問】正答7

ア.(×)(最大判昭34.12.16)→憲法9条2項の「戦力」とは、日本国がその主体となって指揮権・管理権を行使し得る戦力をいうと判示しています。

イ.(×)(最判昭57.9.9)←長沼ナイキ事件の上告審。夕張郡長沼町の地対空ミサイル基地に反対した住民が提訴した事件。

ウ.(○)(最判平元.6.20)←百里基地事件の上告審。小美玉市の百里基地建設予定地の土地を所有していた住民が、基地建設反対派住民に同土地を売却したが代金の支払いがなかったことから解除し、結局、国に同土地を売却したという事案。国がした私法上の行為には憲法9条が直接適用されないと判示しています。

【第15問】正答2-2-1

ア.(×)「条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。」(憲法61条)。予算について衆議院の優越を定めた条文を準用しています。基本的に両院協議会を開けばよく、別途再度の衆議院決議は不要です。一方、「衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。」(憲法59条2項)。法律案については、再可決が必要となります。

イ.(×)参議院に比して任期が短く、解散制度があることは、衆議院の優越の根拠となります。

ウ.(○)衆議院の優越は、法案決議・予算決議・条約承認の三点に表れますが、その他基本的に、衆参は同格です。

【第16問】正答6

ア.(×)「弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。」(憲法64条2項)。「裁判官の罷免の訴追は、各議院においてその議員の中から選挙された同数の訴追委員で組織する訴追委員会がこれを行う。」(国会法126条1項)。→裁判官の訴追は、各議院の議決ではなく、各議院から選出された訴追委員会が行います。

イ.(○)「弾劾裁判所及び訴追委員会は、国会の閉会中でも職権を行うことができる。」(裁判官弾劾法4条)。次の国会がいつ開かれるか分からないですから、そりゃそうですよね…。

ウ.(×)「裁判官は、罷免の裁判の宣告により罷免される。」(裁判官弾劾法37条)。→不服申立の制度は設けられていませんので、弾劾裁判所の判断に不服があったとしても、最高裁判所等に救済を求めることはできません。

【第17問】正答6

ア.(×)(最大判昭35.3.9)→地方議会の除名処分に対しては、議員の身分喪失という重要な権利に関わることであるから、司法審査が及ぶ旨の判示をしています。

イ.(×)(名高判平24.5.11)→議員が議会で発言することは最も基本的で重要な権利であるから、発声障害を持つ議員の発言を認めないことは、一般市民社会の法秩序に関する事項であるとして、司法審査が及ぶ旨の判示をしています。

ウ.(○)(最判昭52.3.15)→部分社会の法理に触れた上で、大学の単位認定のような内部的問題については、特段の事情のない限り、司法審査が及ばない旨の判示をしています。

エ.(○)(最判昭52.3.15)←同判決からすると、大学における特定の単位取得が国家資格取得の前提要件とされている場合には、一般市民法秩序と直接関係のある特段の事情があるとして、司法審査が及ぶ可能性があります。

【第18問】正答2-1-1

ア.(×)(最大判平18.3.1)←旭川市国民健康保険条例事件です。「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」(憲法84条)。→同条の「法律」に条例が含まれるとする見解と、同判決とは親和的です。

イ.(○)同判決は、賦課徴収の強制の度合い等の点において租税に類する公課については、憲法84条の趣旨が及ぶ旨の判示をしています。

ウ.(○)同判決は、賦課総額の確定が市長に委任されていたとしても、条例においてその算定基準が明確に規定され、保険料率が自動的に算定される仕組みになっていれば、憲法84条に反しない旨の判示をしています。

【第19問】正答3

ア.(×)「その地方の住民の手でその住民の団体が主体となって処理する政治形態を保障しようとする趣旨」というところからすれば、地方自治体が固有の前国家的な基本権を有するとする立場に立っていないことが分かる。

イ.(○)共同体意識という主観面は測定不能で漠然とした概念であるという批判があてはまる。

ウ.(○)沿革上及び行政上の実態を基準として、憲法上の地方自治体の当否を判断することは、下位規範によって憲法解釈を行うことになるという批判があてはまる。

エ.(×)憲法92条の「地方自治の本旨」が、93条の住民自治と94条の団体自治で構成されていると解釈することができる。

【第20問】正答3

ア.(○)「議員が(憲法改正原案)を発議するには、…衆議院においては議員百人以上、参議院においては議員五十人以上の賛成を要する。」(国会法68条の2)。「前条の憲法改正原案の発議に当たっては、内容において関連する事項ごとに区分して行うものとする。」(国会法68条の3)。

イ.(×)総選挙又は通常選挙に併せて憲法改正に関する国民投票が行われる場合であっても、日本国憲法の改正手続に関する法律が適用除外になるということにはならない。

ウ.(○)日本国憲法の改正手続に関する法律100条ないし108条に規定されている国民投票運動の規定には、戸別訪問の禁止について規制していない。議員の選挙では密室での利益授受の危険性を排除すべきであるし、大きな組織を持つ者が圧倒的に有利になってしまって公平性が担保されないという弊害を防止しするために、戸別訪問が禁止されている。

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