【刑法】事後強盗罪まとめ-要件や共犯など-
こんにちは。ゴンテです。令和元年司法試験(2019)にも出題された事後強盗罪の要件と共犯関係を中心に、まとめてあります。
【刑法238条(事後強盗)と243条(未遂罪)の条文】
「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。」「第二百三十五条から第二百三十六条まで、第二百三十八条から第二百四十条まで及び第二百四十一条第三項の罪の未遂は、罰する。」
【事後強盗罪の意義】
「窃盗が」とは、窃盗犯人がという意味です。窃盗既遂犯は、「取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するため」という3つの目的のいずれかを持っていればよいのですが、窃盗未遂犯については、「逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するため」の2つの目的のいずれかとなります。本条での「暴行又は脅迫」の程度は、客観的に相手方の反抗を抑圧するに足るものであることを要し、強盗罪での議論と一緒だと考えられています。ちなみに、ここで言うところの相手方というのは、窃盗被害者は勿論のこと、誰何して追走する目撃者や窃盗犯人を捕らえた万引きGメンや警察官等も含まれます。そして、条文に書かれざる要件として、窃盗の機会であることが必要です。窃盗の機会が継続しているか否かは、窃盗からの時間の長短、現場からの逃走距離、追走者の有無等を総合的・相関的に判断することになります。通常、この辺りが試験での書きどころになることが多いです。
【実行の着手・既遂と未遂の区別・罪数】
本罪の実行の着手は、「暴行又は脅迫をした」時点です。未遂と既遂の区別は、あくまでも窃盗の未遂と既遂によることに注意してください。本罪が成立しますと、先行する窃盗罪は本罪に吸収されますので、罪数処理を論ずる際には、事後強盗[未遂]罪が成立するとしましょう。
【共犯関係と学説】
例えば、万引き犯Aが、とあるスーパーで窃盗をはたらいて万引きGメンに取り押さえられていたところに、たまたま通りかかった悪友BとAが共謀して、ABともに逃走するつもりでGメンに「暴行又は脅迫」を加えたケースを頭の中に思い描いてください。悪友B自身は、窃盗をはたらいていませんが何罪の罪責を負うでしょうか。結合犯説からは、Bに暴行罪または脅迫罪の罪責を負わせるという考え方と、承継的共同正犯として事後強盗罪の罪責を負わせるという考え方もあります。不真正身分犯説からは、暴行罪または脅迫罪が成立します(65条2項)。真正身分犯説からは、事後強盗罪が成立します。
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