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【国際私法】不法行為の特則について

2019/05/26
 
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こんにちは。ゴンテです。法の適用に関する通則法18条と19条に規定されている不法行為の特例について、まとめます。

【通則法18条(生産物責任の特例)】

「前条の規定にかかわらず、生産物(生産され又は加工された物をいう。以下この条において同じ。)で引渡しがされたものの瑕疵により他人の生命、身体又は財産を侵害する不法行為によって生ずる生産業者(生産物を業として生産し、加工し、輸入し、輸出し、流通させ、又は販売した者をいう。以下この条において同じ。)又は生産物にその生産業者と認めることができる表示をした者(以下この条において「生産業者等」と総称する。)に対する債権の成立及び効力は、被害者が生産物の引渡しを受けた地の法による。ただし、その地における生産物の引渡しが通常予見することのできないものであったときは、生産業者等の主たる事業所の所在地の法(生産業者等が事業所を有しない場合にあっては、その常居所地法)による。」

【18条の特則が規定されている意義】

生産物というのは、その生産から事故の発生までの間に転々流通する性質を有していることから、生産物事故のケースでは、結果発生地は偶発的に生ずるので、17条の一般則による不都合を回避するための規定です。18条は、市場地法主義に立ち、原則として、「被害者が生産物の引渡しを受けた地の法による」と規定しています。その趣旨は、生産業者と被害者のバランスに配慮し、両者の接点である市場が中立的かつ密接な関係地であるという点にあります。例外として、「その地における生産物の引渡しが通常予見することのできないもの」と評価できる場合には、「生産業者等の主たる事業所の所在地法」(orその常居所地法)によることになります。

【18条の適用範囲について】

「生産物」は、自動車、建物、農産物だけでなく、ソフトウェア等が対象になります。条文の「生産業者等」というのは、広範囲であり生産から販売までの過程にいる者が含まれます。本条における直接的な被害者は、対象になるのは明らかですが、被害者と生計を一にする者は被害者と一体視できる密接な関係者として対象に含まれると考えられています。しかしながら、バイスタンダー(事故の巻き添えになった者)については、通説的見解では、対象に含まれないとしています。理由としては、18条が生産業者等と被害者が直接接触していることを前提にしていること、市場地法の適用が予測できる立場にないこと等があります。なお、バイスタンダーについては、17条が適用されることになるでしょう。

【通則法19条(名誉又は信用の毀損の特例)】

「第十七条の規定にかかわらず、他人の名誉又は信用を毀損する不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、被害者の常居所地法(被害者が法人その他の社団又は財団である場合にあっては、その主たる事業所の所在地の法)による。」

【19条の特則が規定されている意義】

名誉毀損等は、国際的かつ同時多発的に生ずる特性があり、個々の法域ごとに複数の不法行為がなされたと考えてそれぞれに結果発生地法を準拠法とするには煩雑すぎるという不都合を解消するための規定なのです。趣旨は、常居所地とは、客観的に一定期間の居住実態のある事実上の住所をいいます。不法行為に法性決定⇒被害者の常居所地が連結点⇒準拠法の決定⇒事案のあてはめと続きます。

【プライバシー侵害は19条に含まれるか?】

通説的見解では、19条に含まれると考えられています。理由としては、プライバシーも名誉と同様に人格権の1つであること、名誉と同様に物理的所在を持たない類似性があること、複数の法域での侵害が同時に発生しやすいことが挙げられています。答案を作成する際には、名誉と特性が似ていることを指摘して論じれば充分だと思います。

以上です。他の記事もご覧ください。ゴンテ

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